読んだ本: 株式会社中華人民共和国 / 徐静波



最近読み終わった本。 中華人民共和国というか中国共産党の人事は株式会社に似ている、という話から始まり、中国共産党のトップがどのような経歴で登ってきたのかなどが書かれている。 中国共産党が株式会社に似ているっていうのは面白い例えだ。


ちなみに徐氏は全人代に取材できるポジションの方なので、反共産党的なことは書いていない。 読んでいてちょっと気持ち悪いぐらいに親共産党だ。


ここ数十年の中国の成長を見ると、中国の目標に対し政策が良い結果を導き出したことは確かだ。 しかしこれが中国共産党+共産党の友党という体制が良いのかというと別問題だろう。 また、日本や米国のような民主政治をすれば良いのかというと、そうとも言い切れない。


中国共産党は株式会社に似ているという例えの通り、目的に対してトップダウンで施策が指示され実行されており、トップに分別がある限り機能するだろう。 これはトップの能力に依存しており、トップが常に優秀であることを維持するのは難しい。 また業績が落ちた時の迷走などは文化大革命前後を見れば明らかだ。 このような特徴も、まさに株式会社に似ている。


株式会社での危険性として、市場や権利の独占があるだろう。 競争相手がいなくなれば、良くする工夫が減ったり、競争相手による改善合戦などが起きず、結果としてinnovationが進まなくなる。 会社の商品ならば、別の商品との競争となり、競争に負ければ業績悪化し、放置すれば廃業となるだろう。 これが国単位で起きると、廃業の代わりに国の崩壊となるだろう。 トップダウンによる高速な施策実施の代償として、失敗時の傷も深いのかもしれない。


じゃ、中国がなぜ成長したのか、という理由の一つを「フラット化する世界」を参考にしてみる。




フラット化する世界では、なぜ中国などが成功したのかの理由として、教育・各種法制度・政治のトップの意思決定などなどを上げている。 これらは立法や行政の行った内容であり、別に株式会社型の政治でなくても、民主政治でも与党がきちんとしていれば実現できるはず。 しかしこのようなことを行っているのは、私が知っている範囲だと中国・香港・シンガポールぐらい。 それに対し、最近の日本の選挙などを見ていると、愚民受けのよい政策ばかり公約して何も実現できない・結果が出ない、ってことばかり続いています。


日本の「失われた20年」がなぜ失われたままで、このまま継続しそうなのか、その理由の一部がこの辺りから見えてきた気がした。 民主政治が悪いわけでも、独裁政治がよいわけでもなく、その内容の良し悪しなのではないかと思う。 票稼ぎばかり意識して愚民受けするその場しのぎな政策を掲げているようでは成長しないし、自らを見直すことを怠れば悪い部分が更に悪化するだろうし。


さぁ日本はどうなっちゃうんでしょうかね。

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