受講者の満足度を高める講義のすすめ方

私が大学生やそれ以前の頃の学生時代は、どちらかというと真面目に勉強しないタイプでした。あんまり勉強とか好きじゃなかったんですよね。社会人になって10年以上経ってから再び学校に通ったわけですが、久しぶりに通う学校は思った以上に楽しい場所でした。仕事のようなプレッシャーもありませんし、自分で希望して受講する授業はやはり楽しいですし、圧倒的に私より若い同級生たちと遊ぶのも楽しいものでした。

今回、香港中文大学 (CUHK) Chinese Language Centre (CLC) で中国語と広東語のクラスを受講し、中国語と広東語の勉強ができたばかりでなく、授業の進め方などについても勉強になりました。過去に社会人を対象とした講座の講師を何度かしてきましたが、何をどうすれば受講者にとってよい講義となり、受講者の満足度を挙げられるのか、自分の経験も振り返りながの受講となり、イロイロと勉強になりました。

中文大での授業で、日本の大学や高校、日本の語学学校で体験しなかったことを、ここに並べてみます。


  • とにかく笑顔で接すること、あまり怒らないことと

  • 受講者の参加を促すこと



笑顔で接する、あまり怒らない



一つ目の特徴で、先生方はいつもニコニコ笑顔に努められ、出来の悪い生徒が居ても怒るようなことをせずに徹底的に練習に付き合うように講義を進められていました。当然ですが、笑顔な人のほうが、不機嫌な顔をされている方より取っ付きやすいです。さらに言えば、あそこまでニコニコしている中国人をはじめて見たかもしれません。

日本に居た頃はニコニコ授業をされている先生って殆ど居なかったような覚えがあります。真面目な顔、眠たそうな雰囲気、棒読みな感じ、特に私の通っていた大学の教授はそんな印象があります。日本の大学のレベルが低いとか言われるとすれば、この不機嫌そうな講師陣も原因の一つなのではないでしょうか。

笑顔で接する、商売での基本だけでなく、学生に勉強させる教育の分野でも重要なことなんだなと、改めて実感いたしました。

受講者の参加を促すこと



CUHK CLC のフルタイムコースは、Level 1,2の頃は5日×1日3時間=週15時間の講義があります。(その後になると授業のコマの選択制になるので、若干減らせられます) Level 1ぐらいの時期では1週間に50個ぐらいの単語と文法を覚え、授業中には会話などのグループレッスンやショートスピーチなどを組み合わせています。Level 2になると1週間あたりに覚える単語数が80個から100個ぐらいになり、Level 3では更に加速するそうです。さらに宿題などが課されるため、帰宅してからも1,2時間は勉強することとなります。

で、毎日3時間の授業で何をやっているかといえば、覚えるべき単語や文法を繰り返し発声させたり、グループでの会話練習などを行っています。とにかく授業中には耳と口で覚えさせるような流れでした。ここまでの内容を見ていると、中国語と広東語の発音が難しいのでソコだけ練習できれば、あとは自習できるのではと思われるかもしれません。しかし自分で勉強するという意識を維持させて毎日毎日勉強するのは、とりあえず私には向いていなかったです。同じことを何度も繰り返していると飽きますからね。誰かにやらされているぐらいがちょうど良い感じでした。

悪い言い方では、馬鹿に理解してもらうためには同じことを何度も繰り返し言い続けること、なんていうのがありますが、少なくとも私は中国語や広東語についての知識がちっともなかった馬鹿なので、何度も何度も繰り返し言ったり聞いたりすることが必要だったと。語学学校の存在意義ってこういうところなのですね。

あと、CLCではないのですが別の大学で講師をされている方にお話を伺った時に、彼女いわく「ニコニコと楽しい授業をやって、発声練習を含めた発言を学生にさせないと、学生が寝たりサボったりするからね」だそうです。大学生の質は香港も日本も似たようなものなのですね。(笑)

っと、ここまで書いたこと、教育方法としては当然なことなのですが、講師経験を持ったあとに改めて学生として受講して、イロイロと気付かされました。ニコニコしながら受講者さんの参加を促す講座の展開、次回また講師をする機会があったら実践してみようと思います。

ここで私が通っていた当時の大学へ苦言を申し上げるとすれば、経営学部で会社経営とかマーケティングとか教える以前に、ご自身の大学での講義の進め方が顧客満足度を高めているのか確認なさられてはいかがでしょうか。教授陣の仕事の一つは学生に上手に教えることであり、そのための具体的な行動を取られていたかどうか、今一度確認なさられてはいかがでしょうか。実在する企業の取り組みを学生に紹介して机上の空論で終わらせるばかりでなく、ご自身でも活用なされてはいかがかと思います。

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