汎用性のあるモノを始めると

ここ数日、汎用性のあるモノを提供し始めた頃の話を二つ読んだ。




パソコン創世記は、NECのTK-80からPC-8001の頃のお話。 マイコンはプログラムによって様々な目的で利用できる。 しかしプログラムの書き方は、ほんのごく一部の人しか分かっていない。 マイコンを広く売るために、マイコンのトレーニングキットとしてTK-80が発売された。 これでマイコンを理解してもらい、多くの業種でのマイコンの応用方法を考えて欲しかった。 しかし販売をはじめてみたところ、マイコンの練習でなく「個人で利用できるコンピュータ」として使おうとしたユーザが多かった。 ということで、それまでは電電公社や大型計算機、電子デバイスなどのB2Bが得意だったNECが、個人向けのコンピュータ、パーソナルコンピュータを発売することとなった。 というストーリ。


東京めたりっく通信のお話は、伊那の有線放送電話から ADSL などの xDSL の実証実験などを通じて、東京で ADSL サービスを開始するお話。 日本では、ADSLがFTTH (Fibre to the Home) の前段階として重要な架け橋となり、他の国や地域より早い時期に常時接続・ブロードバンドを生活を持ち込んだだろう。


当時は、ブロードバンドはVOD (Video on demand) に使いたい、とか考えていたみたいだが。 今考えると、YouTube やニコニコ動画といったCGM (Consumer Generated Media) なVODが普及したり、Flashなどを使ったリッチなWebサイトになったりと。 あとは、ソフトウェアの更新がネットワーク経由だったり、それまでは全然流行っていなかったテレビ電話がSkypeとかで、需要のあるところには供給されている、な状態だろう。 最初は映画やテレビ番組を配信、とか考えていたのだろうけど、その予想とはちょっと違った使って展開をしているのが現在だろう。


また常時接続もやってみて面白いことになっている。 連絡をメッセンジャでするようになったり、twitterみたいな、気が向いたらつぶやく、なサービスも展開されたり。


マイコン作って売っている人たちには「個人が使うコンピュータ、パーソナルコンピュータ」の需要があるなんて思ってもいなかっただろうし、常時接続・ブロードバンドを導入しようとした人たちに、最初はP2Pの違法なファイル交換が流行ったり、YouTube, ニコ動でみんながケラケラ笑うことや、つぶやきをネットに乗っける、みたいなこと、具体的にイメージしていなかっただろう。


汎用性の高い商品は、無限の可能性を秘めている。 ここんところを肝に銘じたい。


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TK-80の記事では、「TK-80の性能・機能が貧弱すぎるので、ユーザサイドというかサードパーティーから勝手な拡張やソフトウェアが発売され、それらの効果もありTK-80も売れた。仮にこれらをNECがすべて準備してサードパーティーへの隙間がなかったら、ここまで売れなかった」といったことが書いてあった気がする。 同じことがPC-9800シリーズにも適用されていたと思う。 PC-9800シリーズはソフトウェアや周辺機器などに止まらず、互換機まで出てしまうぐらいに、汎用性があったのだから。 で、その結果、田町のNEC本社ビルであるNECスーパータワーが「98御殿」とか言われるぐらいになるし。(笑)


このことに共通するエピソードとしては、スーパーカブ向けの蕎麦出前器をホンダ社内で開発したら本田宗一郎が怒った、ってことだろう。 本田宗一郎の意見は、「ウチはバイク屋・エンジン屋なのだから、よいバイクやエンジンを作ることに注力しろ。出前器は出前器屋が作ればいい。他人の仕事を奪うな。」というところだった。 アプリケーションはアプリケーション屋の仕事だし、餅は餅屋。

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